緋桜なこ

あらすじ

深い深い山奥の社に姉妹がいた。

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姉は明るく社交的だが、妹は姉の後ろにいつも隠れる程の引っ込み思案で、
近所の子供たちによくからかわれていた。
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対照的な性格だが、2人は歌が大好きだった。

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奉納の度に拝殿から歌い舞う姉の姿はとても美しく輝いており、
やはり姉は特別なのだ。と誇らしい気持ちと
いつか拝殿で姉と一緒に歌い舞ってみたい気持ちが膨らんでいった。

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ある日、姉が高熱を出し奉納のための歌と舞いは妹が行うことになった。
周囲の要望に断りきれず妹が奉納を行ってしまった。

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妹は、歌い踊った。

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----歌と踊りはね、自由なの

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姉がよく言っていた。
自由がよくわからないが、あぁ、これが姉の見ていた世界なのだろうか。
なんて美しいのだろう。

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----お姉ちゃん、なこは役に立ったかな？お姉ちゃんと同じ世界を見れたかな？

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妹は生まれて初めて自分の存在を感じた。

その翌日、姉が消えた。
そう最初から存在しなかったかのように。